日本人は古来より四季を重んじ、四季に抗うことなく生きてきました。
現代でも、四季を大切にした風習や行事は伝承され、四季の楽しみを感じながら過ごしている方も多いでしょう。
日本の天候も、四季に大きく影響され、変化するので、日々の天気や季節の移りかわりにも、ついつい敏感になってしまいます。
天候だけでなく、四季がはっきりしていることで、俳句の季語が生まれ、季節を表現する言葉も日本には数多く存在しています。
季節を表す言葉として、代表的なものに、「三寒四温」という言葉があります。
こちらは毎年春になると、テレビから1度は必ず耳にする言葉ではないでしょうか?
四季の中でも、個人的になぜか少し短くも感じる春と秋の天気について、また季節を表す言葉についてご紹介していきたいと思います。
春の天気と三寒四温の意味
気象上での春は、3月、4月、5月のことを指します。春は気温の変化が激しい季節です。
桜が咲き始め、お花見の季節になります。
日ごとに気温差が生じ、朝晩と日中の気温差も激しく、日中春がきたな、と感じながらも、夜のお花見になれば、まだまだ冬じゃないかと思う程、気温が下がります。
花冷え(はなびえ)という言葉があるように、桜の花が咲く頃、冷えた空気を送り込む、寒冷前線が短い周期で日本を通過し、冬のように冷え込む日があります。
高気圧と低気圧が交互に通過するのが日本の春の天候の特徴です。
天気の移り変わりも激しく、晴れが何日も続くことは少なく、1日1日天気がよく変わります。ここから生まれた代表的な春を表現する言葉が、「三寒四温(さんかんしおん)」です。
多くの方が1度は耳にしたことがある言葉だと思います。
三寒四温とは、3日程寒い日が続くと、その後4日程あたたかい日が続く、という意味の言葉です。
実は、本来こちらは中国の東北部や朝鮮半島の北部で冬季に使われた言葉ですが、日本では少し季節がずれ、今ではテレビの天気予報でも、春先に使う言葉とされています。
春先に、高気圧と低気圧が交互に日本の上空を通過し、その都度気温が変化することから、日本では、冬よりも春先に使われるようになりました。
冬の季語ではありますが、現代人にとっては、春の言葉、というイメージの方が身近かもしれません。
三寒四温、という言葉を耳にしたことがある方も、実は冬季の言葉であった、ということは知らない方も多いのではないでしょうか。
春と秋の天気の特徴や違いは?
春だけでなく、秋の天気もまた特徴的です。
気象上での秋とは9月、10月、11月を指します。
「女心と秋の空(おんなごころとあきのそら)」女性の異性に対する愛情がよく変わるように、秋の空もよく変わる、という意味のことわざが出来るほどに、秋の天気も春と同様によく変わります。
秋もまた、移動性の高気圧と低気圧が交互に日本の上空を通過する為、寒い日とあたたかい日、晴れと雨の日が交互に繰り返されます。
「天高く馬肥ゆる秋(てんたかくうまこゆるあき)」ということわざがあります。
こちらも中国から来たことわざで、秋の空は澄み渡って晴れ、馬の食欲も増し、肥えてたくましくなっていく秋、という意味で日本では捉えられていますす。
夏の暑さが遠のき、木々が紅葉する秋。色づいた葉を見上げると、澄み切った秋の空と紅葉のコントラストにうっとりしたことがあるのではないでしょうか。
秋の天候も変わりやすい、となると、春と秋の違いとは何なのでしょう?
まず、先ほど春は日中と朝晩の寒暖の差が大きいとお伝えしました。
日中太陽が出ている時間が長くなる春は、それだけ長く太陽の光で地面が温められ、その後空気も暖められます。
しかし、地面は温まりやすく、冷めやすいという性質があるので、太陽の光があたらなくなると急に温度が下がります。
よって、春は朝晩と日中で気温が大きく変化するようです。
一方、秋は太陽が照らす時間が短くなるので、それだけ地面の温度も、春と比べてあがりにくくなり、昼夜の差が小さくなり、春のように気温差が生じません。
また、春と秋の違いの大きな点は、秋には台風がやってくることでしょう。
春にも、南風からの強風が吹き、天気が荒れる日はありますが、台風は春には訪れません。
他にも違いはありますが、この2点が私たちにとってわかりやすい違いではないでしょうか。
春を言葉で表現すると!
日本人は四季を大切にしてきたので、それぞれ四季を表す言葉はたくさん存在します。
特に、多くの花が芽吹く春は、古来より日本人に愛されてきました。春を表現する言葉から、いくつかピックアップしてご紹介します。
「春一番(はるいちばん)」とは、前述した、春になると南から強風が吹き荒れることがあり、その春(立春から春分)1番初めに南から強風が吹くことを指します。
テレビのニュースでも、今日は春一番が吹きました、と知らされると、春だな、と感じますよね。
また、「春霞(はるかすみ)」と言う言葉もあります。
秋の空は、秋晴れと呼ばれる、澄み切った空が見られますが、春はなんだか靄(もや)がかかったようなすっきりしない空が広がることが多いですよね。
春の時期に霞むことを、春霞と呼びます。
アメリカなどでは、学校は9月にスタートしますが、日本では4月が始まりの季節です。
春が来ると、何か新しいことにチャレンジしたり、新生活が始まったり、大きな期待や喜びに満ちたイメージがあります。
春になると、花木も色づき、桜が開花するだけで、日本全体が彩られる気持ちになりますよね。
「春爛漫(はるらんまん)」という言葉も、そんな日本の春を表現した言葉です。
春の気配があたり一帯に広がり、あざやかに光り輝く様子を指しています。
気持ちが晴れやかになる言葉が多いのも、春らしさと言えましょう。
まとめ
夏と冬。世界ではこの2つの季節だけでまわる国もあれば、日本のように春、夏、秋、冬、と四季がある国もあります。
日本の四季ははっきりしており、夏と冬が移り変わる繊細な季節である春と秋は、日本人にとっても特別なものです。
人々の生活には切り離せない天候。
四季がある国で生活できることを誇りに、それぞれの季節の特徴や、はたまた季節に使われる美しい日本語の多くに触れ、日本人としての暮らしを大切にしていきたいですね。
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