鏡餅は、お正月に欠かせないお正月飾りのひとつで、鏡餅を飾った途端、華やかで厳粛なお正月らしさが訪れます。
鏡餅を飾るときに欠かせないものや、その飾り方は関西、関東など地域によりさまざまですが鏡餅の飾り方は台座となる三方に置いて飾ります。
その鏡餅の飾るときに必要な縁起物、飾る順番、一般的な鏡餅の飾り方。
飾った鏡餅はどこに置くか、三方の飾り方と飾る場所から鏡餅を飾る意味や由来も紹介します。
お正月の鏡餅飾り方と飾る場所
お正月に飾る鏡餅の飾り方は、日本全国さまざまな飾り方がありますが、ここでは一般的な飾り方を紹介します。
鏡餅(かがみもち)は、大小二個(または三個)の丸いお餅を二段に重ねたものです。
(三個の場合は三段、または一つを赤い着色をした餅を使い紅白にする地域もあります)
ここでは、鏡餅の飾り方の順を追って紹介します。
まず、鏡餅の台座になるのは、三方(さんぽう)や三宝(さんぽう)といわれる台座の上置いてお供えします。
鏡餅飾り方と三宝に置く置き方の順番
まずは、鏡餅の台座は三方です。
三宝とも書かれますが、神道で使用する場合、正式には三方(さんぼう・さんぽう)と書き、檜(ひのき)などの素木(しらき)を使用するのが一般的となります。
(仏事で使用する場合、「仏・法・僧」の三宝とかけてこう書かれ、漆などの塗り物三宝が一般的です)
三方は、直方体の台の上に折敷(おしき)という盆がついたもので、神饌(しんせん)と呼ばれる供物をお供えする台のことで、三方向にのみ宝珠などの形の穴が空いています。
四方向に穴が空いているものもあり、それは四方(しほう)と言います。
その上に鏡餅をお供えしていきます。
1:三方(さんぼう・さんぽう)・三宝(さんぽう)
2:四方紅(しほうべに)又は奉書紙(ほうしょがみ)
このように、白い紙に紅色で縁取りがされている紙のことです。
3:裏白(ウラジロ)
最近では、スーパーやホームセンターに売っている、裏が白い葦です。
4:紙垂(しで)
鏡餅用は紅白になっているものを選ぶことが多いです。
5:お餅(下になるお餅)
6:昆布(こんぶ)
お餅とお餅の間に昆布を挟む。(喜ぶという縁起物)
7:お餅(上になるお餅)
8:串柿(くしがき)
なぜ、柿なのかというと、柿はその読み方からも「嘉来(かき)」につながると縁起物とされています。
さらに串に刺していることで、三種の神器である「剣」にみたてられています。
両端に二個ずつ、中央に六個あるのが、昔から鏡餅の御飾りの慣わしです。
外から「夫婦(フーフー)二個二個(ニコニコ)仲(中)六つ(睦まじく)」という家庭円満のいわれからと聞いています。
9:橙(だいだい)
10:海老(えび)
お節料理でも欠かせない海老ですが、伊勢海老を模したものを飾ります。
腰が曲がるまでという長寿の願望と脱皮し成長するさまから躍進を象徴します。
11:水引(みずひき)
この水引で海老の縁起物を橙に結ぶように付けます。
12:末広(すえひろ)・末広扇(すえひろおうぎ)
鏡餅の一番上に飾る金や銀色をした末広がりの扇子が、代々末広がりに家が栄えていくようにという願いが込められています。
これで、三方(三宝)の上に鏡餅の御飾りができるお正月の鏡餅飾り方です。
鏡餅の置き場所・飾る場所
鏡餅はどこに飾るかですが、家に神棚があれば神棚に、和室の床の間があれば床の間に鏡餅の飾る場所です。
床の間に飾る場合は、正月床の間飾りと呼ばれます。
三方で鏡餅をお供えする場合、三方の向きは、台となる四面のうち穴の空いていない面を神棚や床の間に向けます。
三方の上の、盆となる折敷(おしき)のつなぎ目ある辺が手前になるようにお供えします。
鏡餅を飾る場所
鏡餅を飾る場所は、主として床の間や神棚に飾りますが、最近では床の間のない住宅事情では、家族の集まるリビングなどに大きな主となる鏡餅を飾ると良いでしょう。
他にも、お客様を迎える玄関、火の神様の竈(かまど)といわれていたキッチンや、水神様のおられる水回り、トイレは女性の出産を守る神様がおられます。
寝室や各部屋にも小さい物でいいので飾るといいでしょう。
鏡餅を飾る意味を知ろう
お正月に、鏡餅を飾る意味は何故かを紐解いていきますと、日本の稲作文化に関係しています。
日本にとって稲穂は、大切な縁起物で命の源です。
春になると田を耕し、田植えをし、秋にはその稲穂を収穫します。
古来より気候変動の四季のある一年をめぐるなか、長い時間と人の力をかけて作る稲や米には、稲霊(いなだま)、穀霊(こくだま)といった霊力が宿るとされています。
その稲や米など穀類の豊穣や収穫を感謝した祭りが、今では勤労感謝の日に行われる新嘗祭(にいなめさい)です。
毎年、新しい稲や米が出来るため、その年その年の新米を食べることで日本人の生命力が強化していくと考えられます。
その新鮮な米を搗いて(ついて)熱を加えて固めるお餅は、神事には欠かせない供物、神饌(しんせん)となります。
ちなみに、米は、加工し発酵すれば、酒となります。
酒は、百薬の長といわれるように酒をもって病を治すという意味合いがありました。
餅や酒は古くから神事と結びつきの深い食物なのです。
鏡餅は、文字の通り昔は丸い鏡の形で、三種の神器である銅鏡を模したもので、鏡は人の心を映し、人の魂をも映す神様だと思われていたといわれています。
そのため、お正月に歳神様や歳徳神を一般家庭でお迎えするために供物として飾られるようになったといわれています。
他にも、人の心臓の形を表している、人の丸い御霊を表している、また、円満に歳を重ねるという意味合いなどさまざまないわれがあります。
鏡餅は、陰陽道に関わりがあり、上のお餅は太陽の「日」、下のお餅は「月」を見立てており、お正月から太陽系の神々と月系の神々のお力が、それぞれのお餅に日々込められていきます。
鏡開きとなる、鏡餅を開く日は1月11日といわれますが、本来太陽系の神様のお力を10日間、月系統の神様のお力を10日間いただき、1月21日を鏡開きをしていました。
鏡開きとは、太陽の神様の宿った上のお餅と、月の神様が宿った下のお餅の間を開くことで、そのお力をいただくことから鏡開きと言います。
その鏡開きも、近年1月11日になっていますが、これは、地域にもよりますが、徳川三代将軍の家光の命日が(4月)20日だったことから、20日を避けて11日となったとされています。
鏡餅はいつ飾る日?過ぎてもこの時期ならOK
鏡餅を飾る日は本当は決まっています。(・・・というより昔は決まっていました)
鏡餅は、歳神様(としがみさま)・歳徳神(としとくしん)と呼ばれる神様が注連縄(しめなわ)を目印にお越しになり、お正月の間、鏡餅にお座りになられます。
そのため、その鏡餅にはその年の時期は、玄関飾りなどの注連飾りや、神棚の注連縄と同じく、正月事始めと同じ12月13日以降で良いとされています。
しかし、つきたてのお餅だと期間が長くなりすぎてカビの心配などが出てくること、お正月のお雑煮用などのお餅と合わせて作ることが多くなっています。
最近は、正月飾り同様、クリスマス以降の12月28日もしくは30日にお餅をつき鏡餅もお供えする傾向にあります。
なかでも、末広がりの「八」のつく28日にお供えすることが縁起が良いとされえているのが一般的です。
しかし、お正月用の鏡餅は、地域はもちろん時代によっても変わってきています。
今ではこういった、上のお餅と下のお餅を開くことの出来ない真空パックになっているものや、切り餅や丸餅といった後々使いやすく個包装されたお餅が鏡餅の形を模した容器に詰まったものなどが販売されています。
昔からの、つきたての手作り餅といった形にこだわることなく、気持ちだけはしっかりと込めて、あなたの生活スタイルに合った鏡餅を用意すれば、そのお餅に神様の力は宿ってくださるのだと思います。
まとめ
お正月の縁起物代表の鏡餅の飾り方と三方の置き方から飾り方を紹介しました。
鏡餅を飾る意味は月や太陽の神様が宿っている神聖な供物です。
鏡餅を飾る日は、お正月飾りと一緒に備えても大丈夫。
歳神様のお力をたくさんいただいて、鏡開きの日にはパワーをたくさんいただき、新しい年も元気に躍進できる年となるように願いましょう。
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